JR木津駅から徒歩7分の場所に位置する神社の社務所の建て替えを行いました。
これまでは主に神事にのみ使用してきた社務所ですが、単に建て替えを行うだけではなく、改めて社務所のあり方について再考したプロジェクトです。

かつての神社は、神様への奉仕となる「お祭り」を行うだけではなく、地域の子どもたちが境内で遊ぶなど、日常的に人々が集まる「公共空間」としての役割も兼ね備えており、地域の人々にとって身近な場所でした。

現代においては、「公共空間」の役割は他の公共施設に移り、多くの神社は正月とお祭りにのみ訪れる場所となり、
地域の人々にとって遠い存在となりました。

そこで、今回社務所を建て替えるにあたっては、その「公共空間」としての役割を再度担う社務所とすることで、地域の人々にとって身近な居場所となることを目指しました。

意匠について、社務所を、神社と地域をつなぐ結節点として捉え、伝統的な素材・形態と現代的なデザインを融合して、歴史ある神社の⾵格と繊細で端正な意匠により、格式の⾼さと親しみやすさが共存する建築としました。

素材について、日本古来より尊く最高のものを示す「日」をとって「日の木」とも表現されてきた「ひのき」を中心として、本物にこだわった材料を使用しました。

これから先、神社と地域とでこの社務所を共有して、「日常」と「非日常」が両立する場所となることを願っています。